ほ  ん  と  の  空  の  し  た

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ふるさとをぎゅっと抱きしめる、言葉と音楽。

 

 

 

彫刻家で詩人の高村光太郎の妻・智恵子は、福島県二本松市出身です。
光太郎の書いた詩集「智恵子抄」のなかの、
「あどけない話」という一編をご存知でしょうか。


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「あどけない話」

 
智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
(中略)
 
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。
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智恵子は、たんに福島の自然や空気のきれいさを「ほんとの空」と形容したのでしょうか。
田があり山があり、水が流れ、動物がいて、花がいて、家族がいて、ご先祖様がいて
遥か昔からめぐりめぐるすべてのものが、自分とつながっている。
そんな ふるさとの空を、彼女は「ほんと」と呼んだのだと思っています。



わたしたちはいま、大変な困難を乗り越えようとしています。
生活ががらりと変わってしまった方も多くいらっしゃいます。
「離れる」か「残る」か、という、理不尽な選択を迫られました。

いま、新しい土地のうえにいたとしても、昔なじみの土地にいたとしても、
わたしたちはみんな「ほんとの空」を心にえがくことができます。
「福島出身の人は、郷土愛がすさまじい」と、あの日以来、何度も耳にしてきましたが、
わたしたちのふるさとの空は今なお、智恵子の見たほんとの空と 
ひとつも変わらないことを知っているからなのではないでしょうか。

決断の是非は関係なく、数々の主張もちょっと置いといて、
まずはわたしたちひとりひとりの福島愛を「さすけね」と肯定したい。
「ふぐすま、いいよない。おら、ふぐすま、すきだぞい。」という変わらない気持ちを
ゆったりとみんなで共有したい。

言葉で、音楽で、そんな思いを表現できたらと思っています。
ほんとの空のしたで、みんなで。
 
 
 
(2011年 10月 30日 菊地裕貴)
 

 

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